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最低賃金の実務(地域別・特定最低賃金と未払請求)

最低賃金の実務(地域別・特定最低賃金と未払請求)

概要

最低賃金法(昭和34年法律第137号)は、賃金の最低額を保障する。最低賃金を下回る賃金の定めは==その部分につき無効==となり、==最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされる==(最賃法4条2項。労基法13条と同構造)。未払賃金請求では、契約上の賃金額の確認とあわせて==最低賃金割れの有無==を必ず検算する。

本ナレッジは2026年6月時点の整理(適用中の金額は==令和7(2025)年度==の地域別最低賃金)。

更新ルール:地域別最低賃金は毎年8月頃に答申・==10月頃に改定==される。金額引用前に必ず厚労省の全国一覧で確認すること。


1. 制度の骨格

種類 決定主体 適用 罰則
地域別最低賃金 都道府県労働局長(地方最低賃金審議会の答申) 都道府県内の==全労働者==(産業・雇用形態を問わず) 不払いは==50万円以下の罰金==(最賃法40条)
特定(産業別)最低賃金 同上(特定の産業について設定) 当該産業の基幹的労働者 最賃法の罰則はなく==労基法24条(全額払)違反==(30万円以下の罰金)で担保

2. 令和7(2025)年度 地域別最低賃金(2025年10月以降順次発効)

==全国加重平均1,121円==(前年度比+66円・約6%増で過去最大の引上げ幅)。==全都道府県で1,000円超==となった。

都道府県(主要) 時間額
東京 1,226円
神奈川 1,225円
大阪 1,177円
埼玉・愛知 1,140円前後
全国加重平均 ==1,121円==

3. 最低賃金割れの判定(計算方法)

最低賃金の対象となる賃金は==毎月支払われる基本的な賃金==に限られる。

算入しない賃金(最賃法4条3項・最賃則1条):

判定式:

賃金形態 判定式
時給 時給 ≧ 最低賃金額
日給 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
月給 (月給 − 算入除外手当)÷ 月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
出来高払 出来高総額 ÷ 総労働時間 ≧ 最低賃金額

割増賃金の基礎単価(労基法37条・no.4.8 §2)とは==除外項目が異なる==(例:家族手当・通勤手当は両方で除外だが、精皆勤手当は最賃の判定では除外、割増基礎では算入)点に注意。


4. 未払請求の組み立て

  1. 差額請求権: 最賃割れ部分は無効となり最低賃金額で契約したものとみなされるため、==差額(最低賃金額 − 実支払額)×労働時間==を賃金として請求できる(消滅時効は当分の間3年・no.4.2 §5)
  2. 割増賃金への波及: 基礎単価が最低賃金額まで引き上がるため、==残業代も最賃ベースで再計算==する
  3. 行政申告: 労基署への申告(労基法104条・最賃法34条)も併用可。地域別最賃違反は罰則対象のため是正指導が入りやすい
  4. 使用者側の抗弁: 減額特例許可の有無・算入賃金の範囲(手当の性質決定)が主な争点

5. 関連ナレッジ

ナレッジ 関係
労働基準法に関する実体法(no.4) 労基法13条・24条との関係
未払賃金・残業代・付加金(no.4.2) 時効・立証
残業代の具体的計算実務(no.4.8) 基礎単価との異同
外国人労働者の労働法実務(no.12) 最賃割れの頻出類型

本ナレッジは2026年6月時点の整理であり、個別の法的助言ではありません。金額は毎年改定されるため必ず原典で確認すること。