労働法 改正・施行動向(2024〜2026年)
労働法 改正・施行動向(2024〜2026年)
概要
本ナレッジは、==2024〜2026年に施行済み・施行予定・審議中の労働法改正==を時系列で整理する(2026年6月時点の調査に基づく)。実体法の本体は no.4、フリーランス法は no.4.9、ハラスメントは no.4.5、手続は no.5 を参照。
更新ルール:施行日・法律番号は政令・官報で確定するため、引用前に厚労省サイト等で最新情報を確認すること。
1. 施行済み
2024年(令和6年)
| 施行日 | 改正 | 要点 |
|---|---|---|
| 4月1日 | 労働条件明示ルール強化(労基則5条) | 就業場所・業務の変更範囲、更新上限、無期転換関連の明示義務(no.4 §第2章) |
| 4月1日 | 時間外上限規制の猶予終了 | ==建設業・自動車運転業務・医師==等へ上限規制適用(自動車運転者は年960時間等の特例) |
| 11月1日 | ==フリーランス法==施行 | 取引適正化・就業環境整備(詳細は no.4.9 §3) |
2025年(令和7年)
| 施行日 | 改正 | 要点 |
|---|---|---|
| 4月1日 | ==育児・介護休業法改正(第1弾)== | ①子の看護等休暇を==小学3年生修了まで==拡大(学級閉鎖・入卒園式も対象)②残業免除(所定外労働の制限)を==小学校就学前==まで拡大 ③3歳未満の短時間勤務の代替措置にテレワーク追加 ④育休取得状況の公表義務を==従業員300人超==へ拡大 ⑤介護休暇の要件緩和・介護離職防止の雇用環境整備 |
| 4月1日 | ==高年齢者雇用安定法の経過措置終了== | 65歳までの継続雇用制度の対象者限定の経過措置が2025年3月末で終了し、==希望者全員の65歳までの雇用確保が完全義務化== |
| 4月1日 | 雇用保険法改正 | ==出生後休業支援給付==(両親とも14日以上の産後パパ育休等で最大28日間・計80%給付=手取り実質10割相当)、==育児時短就業給付==(時短勤務時賃金の10%)、自己都合離職の給付制限を原則==1か月==に短縮 |
| 10月1日 | ==育児・介護休業法改正(第2弾)== | 3歳〜小学校就学前の子を持つ労働者向けに、==柔軟な働き方を実現する措置==(①始業時刻等の変更 ②テレワーク〔月10日以上〕③保育施設の設置運営等 ④養育両立支援休暇〔年10日以上〕⑤短時間勤務、から==2つ以上を選択して講ずる義務==。労働者は1つを選択)+妊娠・出産申出時と子が3歳になる前の==個別の意向聴取・配慮の義務化== |
| 10月1日 | 雇用保険(教育訓練休暇給付金) | 教育訓練のための休暇取得時に基本手当相当を支給 |
2. 公布済み・これから施行
| 施行日 | 改正 | 要点 |
|---|---|---|
| 2026年4月1日 | 改正労働安全衛生法(令和7年5月公布)の一部 | ==高年齢労働者の労災防止==が事業者の努力義務に(身体機能の低下に配慮した作業環境の改善等) |
| 2026年10月1日 | ==労働施策総合推進法改正==(令和7年法律第63号・2025年6月11日公布) | ①==カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置の義務化==(パワハラ防止措置と同様の体制整備。指針あり)②就活等セクハラ対策 ③==治療と仕事の両立支援==の努力義務化(一部規定は公布日・2026年4月1日施行)。no.4.5 のハラスメント類型にカスハラが加わる点に注意 |
| 2026年7月1日 | 障害者雇用促進法(政令) | 民間企業の==法定雇用率2.5%→2.7%==・対象事業主を37.5人以上へ拡大(詳細は no.14) |
| 2027年4月1日(予定) | ==育成就労法==(令和6年法律第60号) | 技能実習制度を廃止し==育成就労制度==を創設(本人意向の転籍解禁等。詳細は no.12) |
| 2028年まで(公布後3年以内の政令日) | 改正労働安全衛生法 | ==ストレスチェックの実施義務を労働者50人未満の事業場へ拡大==(2028年4月義務化の方針) |
| 2028年10月 | 雇用保険の適用拡大 | 週所定労働時間==10時間以上==へ適用拡大 |
3. 審議中・未成立(労働基準法の大改正)
労働基準関係法制研究会の報告等を踏まえ、約40年ぶりの労基法大改正が検討されているが、==2026年の通常国会への法案提出は見送り==となった(施行は2027年以降の見込み・内容未確定)。検討項目:
- ==14日以上の連続勤務の禁止==(連続勤務13日まで)
- ==法定休日の特定==の義務化
- ==勤務間インターバル==(原則11時間程度)の義務化
- 労働時間規制・労使コミュニケーション等の見直し
未成立の段階であり、実務助言には使わないこと。賃金請求権の消滅時効「当分の間3年」→本則5年への移行も==未実施==(no.5 §3-1)。
4. 実務への影響(パラリーガル視点)
- 定年後再雇用相談: 2025年4月以降は希望者全員の65歳継続雇用が完全義務化。名古屋自動車学校事件差戻審(名古屋高判令和8年2月26日・no.4.3.89)と併せ、再雇用拒否・賃金減額の相談類型が増加見込み。
- 育児関連の不利益取扱い: 2025年改正で義務の範囲が広がったため、措置義務違反が均等法・育介法上の不利益取扱い/ハラスメント主張の根拠事実になりうる。
- カスハラ: 2026年10月以降、使用者のカスハラ防止措置義務違反は安全配慮義務違反(no.4.5)の評価資料となる。就業規則・対応マニュアルの確認項目に追加すること。
5. 関連ナレッジ・参考リンク
| ナレッジ | 関係 |
|---|---|
| 労働基準法に関する実体法(no.4) | 条文本体 |
| 副業・兼業・テレワーク・フリーランス(no.4.9) | フリーランス法 |
| ハラスメント・安全配慮義務(no.4.5) | カスハラ対応 |
| 労災・過労死・メンタルヘルス(no.4.6) | 安衛法・ストレスチェック |
| 手続法(no.5) | 時効の経過措置 |
| 外国人労働者の労働法実務(no.12) | 育成就労法 |
| 障害者雇用の労働法実務(no.14) | 法定雇用率引上げ |
本ナレッジは2026年6月時点の整理であり、個別の法的助言ではありません。施行日・給付内容は必ず原典で確認すること。